期間限定!ファブラボ小豆島(五日目)

2014.12.18

こんにちは。

fablab北加賀屋メンバーのmiyaです。

遅ればせながら、金曜日から参加させていただきました。

金曜日&土曜日のレポートを担当させていただきます。

 

の前に自己紹介。

ひょんなことからfablab北加賀屋に出入りするようになり、そこで見た高橋祐介さんの羽ばたき飛行機に一目惚れ。勝手に秘書&撮影係としてあちこちついていくように。今回も、土曜日の羽ばたき飛行機ワークショップのお手伝いが主なお仕事。

あと、自身としては、fablabで出会った仲間とともに、デジタルファブリケーションと電子工作を用いたミニ四駆のカスタマイズプロジェクト

Fab Vehicle PJ

で遊んでいます。

詳細はこちら

https://fablabkitakagaya.org/cms/project_archive/fab-vehicle-pj/

https://www.facebook.com/groups/1485077668375071/

 

 

大阪を早朝に出発し、小豆島の坂手港へお昼前に到着。

事前情報ほぼなく、お気楽に来島してしまったことが災いし早速迷子に。

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坂手港の灯台跡地に設置されたヤノベケンジさんの作品「THE STAR ANGER」

 

港で途方にくれていると、津田さんが見つけてくださいました。

 

皆さんumakicampさんにおられるとのことで、持ってきた自転車でスィーっと移動。坂手港からumakicampさんまで約3kmほど。アップダウンが多かったですが、一つ一つの坂道が長くないので、難なく移動できました。

その途中に何軒もあるお醤油屋さん&佃煮屋さん!自転車に乗っているだけでとてもおなかが空く、よい香りが町中に漂っていました◎

 

15分たらずでumakicampさんへ到着。

小豆島地図

 

地図中、南東部の☆二つのうちの下が坂手港、その真上にあるもひとつの☆がumakicampさんの位置。

(後述の高尾石材さんはさらに北東部となります◎)

 

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左の小屋にはヤギの庄平さんが。お庭にはかまどもあります。

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中では吉岡夫妻が日曜日のワークショップに向けて、あわただしく作業されておりました。

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そうこうしている間にホームセンターに買出しに行っておられました皆さんが帰ってこられ、お昼ご飯タイム。島のそうめん屋さんの息子さんのつくられたおうどんに、近くの畑の抜きたてのお大根をおろしてかけ、島で生産されたお醤油をかけた、ぶっかけのおうどん!美味!

 

お昼過ぎからは、白石さん、津田さん、向井さんとともに、umakicampさんから北上した、福田というところにある高尾石材さんを見学させていただきに。車で移動。

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工場長さんの案内で中に入ると!3m超の巨大な石切カッター!迫力!

他にも、石の表面を整える機械や、サンドブラスト、バーナで石の表面を焼いてマットな仕上げにしたり、職人さんが手作業で行う複雑な加工、等々。いろいろ見せていただき、聞かせていただきまして、機械屋としては刺激的で始終大興奮でした◎

 

小豆島は昔から花崗岩の産地で、大坂城築城の際に切り出された花崗岩の石材の残石が各所に残っているとのこと。知りませんでした。小豆島内に石材関係の会社もいくつかあるそうです。高尾石材さんでは、島内の石のみならず、犬島など瀬戸内、はたまた、世界中の石を原料としてさまざまな加工をされているとのことでした。

 

工場裏の石材置き場の切り立ちも立派! (たまに崩れて落ちてくるらしいです…)

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また、昔ながらの石割にも挑戦されていました。矢穴からすべて手作業で掘り、堅い木材のクサビを打ち込んでいき、石を割る。コークス炉から手作りし、燃やし、鉄を鍛え、必要な工具を自分たちで作成。

木で石を割る先人たちの技術力、また、その技術を解明しようと取り組まれている姿に、いたく感銘を受けたのでした。

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石の端材を分けていただきました。今、fablab北加賀屋にある機械ではなかなか加工が難しいかもなー、と思いながらも、なにか使える機会があればと思って持ち帰らせていただきました。さて、何ができるでしょうか??

 

umakicampさんに戻ってくると、なんだかどんより暗いムード。

レーザーカッタの調子が思わしくなく…とりあえず、白石さんによるメンテナンススタート!

 

気がついたらFab Barの開店時間!早い時間からお子さんを連れたお客さんや、連日来ていただいているお客さん、噂を聞いていらっしゃったお客さん達で大賑わい!レーザーカッタで切ってほしいもの持参で来られるお客さんもいらっしゃいました。

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差し入れもたくさんいただきました。オリーブの新漬けとオリーブ茶、自作のパン、パテ、クッキー、みかん、ラーきくチャーハン…他にもたくさんたくさん把握しきれないほど。レーザーカッタ修理に必要なレンチを持ってきてくださった方もいらっしゃいました。Fabメンバー皆感涙。

※ラーきく…ラー油きくらげの佃煮。にんにく入り。

 

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    美味!ラーきくチャーハン!

 

白石さんによるレーザカッタメンテナンスも終わりましてそこからはレーザーカッタ、3Dプリンタ常時稼動(ちなみにこの3Dプリンタはfablab北加賀屋メンバーさんの手作り。凄い!)。イタリア料理店の看板が作られたり、押しご飯の凹型がつくられたり。あちこちで同時多発的にいろんなことが起きていて、不思議な空間となっていました。

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Bar外では吉岡夫妻のワークショップの準備も大詰め。

 

Fab Bar閉店後、エリエス荘にレーザーカッタを持ち帰り、作業の続き。わたしは次の日のワークショップに向けて大事をとりまして、夜更けにはお休みさせていただいたのですが(ちゅうても2時)、一部メンバーは3時半まで作業していたとのことでした…

 

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6日目もmiyaが担当させていただきます。ではまた明日!です。

 

期間限定!ファブラボ小豆島(四日目)

2014.12.18

出張ファブラボ4日目、今回担当をつとめるのは – 井上 – です。

 

まずは簡単に自己紹介から、

僕のFABLIFEが始まったのは、大学時代にまでさかのぼります。

大学時代研究室には、レーザー加工機、3Dプリンタがおかれ自由に使用できる状態でした。思えばそのころからずっとFABが身近にありました。よく切れるはさみやカッターみたいな感覚でしょうか?

そのあとは、コンピューテーショナルデザイン-デジタルファブリケーションを実践している Noiz Architects というデザイン事務所を経て、現在は京都工芸繊維大学D-LABという組織に所属して、デジタルファブリケーションルームの管理・運営をしながら、週末はFABLAB北加賀屋によく出没しています。

 

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これまで色んな場面で FABLAB というワードに触れてきましたが FABLAB という言葉をあらわすのにしっくりいった言葉を僕は知りません。(※個人的な意見です)

それは、 FABLAB の共通の思想となる受け皿が広大で、示唆に富んでいるからなのかもしれません。

国、文化、地域、治安、天候、運営者、利用者・・・。など様々な要因によって独自の FABLAB ができます。

日本に現在ある FABLAB だけでも、一つ一つが全然違います。(※FABLAB北加賀屋はどうなのかというと皆様ご自身の目で是非ご確認ください!) だからこそ面白いと僕は思っています。

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小豆島でFABLABを作りたい人たちってどんな人たちだろう? 小豆島でしかできないことづくり・ものづくりってなんだろう?  そんなことをわくわく妄想しながらFABALAB小豆島という今回のワークショップに参加しました。

参加前より、FABLAB小豆島では、最終的にボードゲームを作るということは決定していました。なのでボードゲームは吉岡夫婦にまかせて、僕はとにかく ものづくり をすることで FABLAB の可能性の一端を島の人たちに見せれればいいなと考えていました。

 

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前置きがながくなりましたが(笑)日誌 本編に移りましょう。

3日目にレーザー加工機が来たことで一気にプロトタイピングの加速度があがりたくさんの作品がFABバーで生まれました。FABバーで生まれた作品達をちょっと紹介します。

 

①FABバーに関わるもの

 

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レーザー加工機がきてはじめにやったこと。看板から料金表まで全部作る。実にFAB的ですね!

FABLAB小豆島のロゴはWeb上のチラシをそのまま加工して用いました。

 

 

 

②オリーブスプーン

 

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岩ちゃんの「オリーブの塩漬けを食べるときに専用のスプーンがほしい」って言葉からその バー にいる人達でブレストして、オリーブの葉をデフォルメしてデザインの大枠を作ることにしました。

ver1.0、とりあえずオリーブの葉より少しだけ大きくしたぐらいの大きさでモデリングして、3Dプリント。その場で岩ちゃんに使ってもらいました。 小さい、使いづらい、かわいい、こんなにはやくできるのね・・。などたくさんご意見をいただきました。Ver2.0に反映することにします。

ver2.0、オリーブの豆知識をいろいろ教えていただいているときに小豆島には、三種類(ミッション・ルッカ・ブランコ)の代表的なオリーブの樹があるということ、そのオリーブの葉にはそれぞれ特徴があるということを聞き、三種類のオリーブにちなんだ葉の形のスプーンを作れば面白いんじゃないとひらめいてすぐに製作開始しました。

ミッション ・・・ ルッカに比べて葉が細くて長い

ルッカ   ・・・ ミッションに比べて葉が太くて短い

ブランコ  ・・・ たまにハート型の葉がでる。(それをみつけるといいことがあると噂されている。岩ちゃん談)

 

 

 

③賽銭箱

 

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慈空さんからの依頼をうけて、賽銭箱をつくることになりました。 まずは要求をまとめました。

・結構たくさんの数の賽銭箱が必要になってくるということ

・島の資源が使われているということ

・片ながれの屋根っぽい雨どいが鳥につつかれてぼろぼろになってしまう。

・安定させたい、ある程度頑丈なつくりにしてほしい

ver1.0 要求をみたしながらなにかデザインする上で重要なポイントはなんだろうなと考えたときに、 賽銭箱 が 家 のモチーフと重なりました。そこから一気に発想がジャンプして、家 として作るのなら屋根は 瓦 使いたいな。小豆島は瓦屋根の古い街並みが広がっており、まず資源としてたくさんあるだろう。空き家なんかもかなりあるっていっていたし、瓦のリサイクルとしても使えそうだな。瓦だと鳥がつついてぼろぼろになることもないよね。「めちゃおもしろいすね!下の箱の部分は、そうめんの箱を使いましょう!」 みたいな声も上がり、即プロトタイピングしました。

慈空さんにみせると反応は上々、賽銭の文字を 浄財に変えたほうがいいかもしれませんねなど意見をいただきました。個人的には、瓦と箱とのフィット感をもう少しあげたいと思いました。

 

 

 

④レーザー加工前半

 

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何人もの人たちが、携帯・携帯ケースに刻印したのですが一番人気は、小豆島の地形の刻印と、馬木という現地の地名の刻印でした。 他の場所だと真っ先に自分の地名を刻印しようとする人はなかなかいないと思います。島民の地元愛を強く感じました。

 

 

 

⑤レーザー加工後半

 

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終盤に差し掛かるにつれて、材料の選定とロゴデザインを考えてきてこれを作りたいからレーザーを使いたいという方がどんどん増えてきました。こういうアクティブなかたがたが小豆島にすんでる潜在的FABLABユーザーになる方々なんだろーなと思いました。

以上作成されたもの達を個人的に分析して総括いたしますと、地元愛 というものがFABLAB小豆島を作るうえで非常にいい原動力として働くのではないだろうかと思いました。地元の方が地元のために なにか を作る? そのなにかを考える 場 をつくることが FABLAB小豆島の 役割の一つなのかもしれません。 MIYAさん5日目よろしくお願いします。

 

Photo: minasamagata

期間限定!ファブラボ小豆島(三日目)

2014.12.16

こんにちは。3日目担当の吉岡英俊です。

私は妻と夫婦2人で、紙や木、アクリルなど様々な素材を使ったアナログゲームを作成することを趣味にしており、ファブラボ北加賀屋では会員として色々な機材を使わせてもらっています。今回は小豆島を題材にしたボードゲームを滞在中に作り、最終日にそのゲームで遊ぶというワークショップを行うという役割を受け、ファボラボ北加賀屋のメンバーとして行ってきました。実際に島に行ってそこで見たもの感じたものを自分たちのゲームにできるという興奮と、それをたった数日でまとめて形にしなければならないという不安の入り交じった気持ちでした。ゲームについては最終日の報告に譲りたいと思います。

 

さて、初日の映画上映、2日目の池田小学校のワークショップ、と前半の山場を終えた3日目は向井さんの案内のもと小豆島の散策に出かけました。白石さんがお仕事の都合で早朝に一度島を離れられたので、津田さん、井上さんに私たち(吉岡)2人を合わせた4人が向井さんの運転する「んごんご号」に乗り込みました。

 

滞在先である坂手港のエリエス荘前から出発し、まずは午前中は山に向かって車を走らせます。山道に入り、段々と道が細く険しくなってきた頃に山林の中に開けたところが見えてきました。牧場です。向井さんの「牛見に行きましょうか」の声で車を停めて入り口に向かいました。 これは密かに驚いていた点なのですが、いわゆる観光向けの見学コースなどではなくて、こうしてふらっと普通のお宅に入っていってお話を聞いたりするのは私にとってはとても新鮮でした。牧場のご主人であるおじいさんの話につかまってしまい、結局牛を見ることができませんでしたが、まあそれもよしです。

 

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車に戻るとさらに山道を進みます。またしばらくすると開けた場所が見えてきました。 一心寺というところで、ずいぶんと趣のあるお寺です。さて、ここからは車を置いて山道を歩いて進みます。 この間、先ほどの牧場の犬のパピーが私たちの歩みについてきています。 ご主人様のお客認定でもされたのでしょうか、道案内してあげましょうといった様子です。

 

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しばらく歩いていると小豆島八十八カ所の一番霊場である洞雲山(どううんざん)の境内が境内が見えてきました。 八十八カ所というと四国のものが有名ですが、ここ小豆島にも島内に八十八の霊場があるそうです。 この辺りは軟質な石の層が削れてこのような特徴的な形状になったそうです。

 

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続けて道に沿って二番霊場である碁石山(ごいしやま)に向かいます。 ここでは、初日の映画上映会にも来て頂いていた住職の慈空さんにもお会いしました。 映画を見て頂いていることもありますし、さっそく何か作ってみたいものはないかと尋ねたところ、賽銭箱ができないかという依頼を受けました。ここの賽銭箱の多くは野ざらしになっているため雨風によって腐食したり、蛇が中に入ったりという問題もあります。中には山の斜面に祭られている仏様もあり足場のない賽銭箱を安定させるための工夫も必要そうです。もしファボラボが小豆島にあれば雛形さえできれあがれば、必要なときに必要な分だけ自分たちで作ったりすることもできますね。これはひとつ課題として頂いて帰ることにしました。

 

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さて、ここからはクライミングの時間です。石に手をかけ足をかけ、碁石山を登っていきます。 とても見晴らしがいいところで、港のあたりまで見渡せます。高いところが苦手な私は途中でそれ以上登ることをギブアップしてしまいましたが、頂上に座した津田さんなどはまさに何かのマスターのようです。ちなみにパピーはまだついてきています。

 

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クライミングの後は慈空さんのお誘いにより、鳳凰窟という洞窟状のお堂の中での読経のもとお祈りをさせて頂きました。そこは戸を閉めると外界からの光も入らない場所で、ここまで駆け足できた私たちの気持ちを落ち着かせることができました。そうはいってもお腹はすきます。すでにランチタイムにも幾分か食い込んでいましたので、ここからは今来た道を全力ダッシュで車を停めてあった場所に向かって戻ります。パピーとも残念ながらここでお別れ、さようなら、またね。

 

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昼食はポンカフェで頂きます。お友達の家にいったような、そんなとてもリラックスできるとても素敵な空間でした。ベジバーガーは野菜中心でもしっかりとした食べ応えがあり、とてもおいしかったです。店内にはちょうどオーナーの真鍋さんがいらっしゃったのでご一緒させてもらいました。 私たちの滞在中にもポンカフェには色々な方が来られます。ちょうど次に向かおうとしていた 真砂喜之助製麺所の真砂さんが届け物でポンカフェへ来られたので、そのまま一緒に向かいます。

 

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素麺は小豆島の名産品ということで、これはぜひとも見ておきたいもののひとつです。 製麺所内には今は吊るされた状態の素麺が室内にたくさん並べられていました。 時期柄、今は見られない製造工程についてはiPadの動画で見せてもらいます。 私がここで興味をもったのは節麺(ふしめん)です。節麺は麺を棒に吊るして干す時にちょうど棒に引っ掛かっていた部分で、製品にする際には切れっ端として取り除かれる部分です。しかしながら、切れっ端とはいえこちらも素麺の一部、味は変わりませんし、その上棒状の素麺とは違った食感が得られます。その場で生の節麺を試食させてもらいましたが、そのままでも塩気があっておいしかったです。帰り際にはお庭のレモン狩りもさせてもらいました。ありがとうございます。

 

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さて日も暮れる頃合いになってきましたので、そろそろ今夜のバーについて考えるように頭を切り替えなければなりません。ありがたいことに、この日もカウンターを埋め尽くすほどのお客さんが来られました。この日からレーザーカッターも稼働開始しました。わかりやすいところで、スマートフォンケースやノートにレーザーに彫刻をしてみます。彫刻されたのは「馬木」の文字、そうここ Umaki camp のある地名です。中にはスマートフォンに直接彫刻される剛毅な方もおられました。素麺の木箱の板にFabLab Shodoshimaの彫刻をしてバーの看板もできました。

 

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昨日のバーで話題に出ていたオリーブの食器にも進展が見られます。スケッチを元に3Dプリンターで試作品1号を作ってみたので早速試しにオリーブをすくってみます。うーん、上手くいったでしょうか。お客さんにも使って頂いて、もっとよい改良点があるならばまた作ればいいのです。一期一会なバーで明日への進展があるのもこのFabBarの面白いところだと思います。

 

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バーで出すお料理も基本的には私たちのほうで用意をしています。せっかくだから小豆島産の使ってみたいと思うわけですが、意外と近所のスーパーでなかなか見つけられないものでした。すると、バーのお客さんのほうから何かと差し入れを頂けることに。昨日の岩ちゃんのオリーブもそうですが、この日も佃煮屋さんの方からとっておきの佃煮をもらったり、そうめん屋さんの方から今日作ったばかりのうどんをもらったりと。素材をもらってその場で何ができるか考えるのは大変刺激的でした。もちろん、どう食べるのが美味しいかは教えてもらいながらですが。

 

というわけで、イベントが一段落したはずの3日目も終わってみれば盛りだくさんの内容となりました。 会う方会う方が独特な生き方を実践されており、向井さんの言っていた社会実験の意味が分かり始めました。 ここでは私たちだけでなく色々な人が、この島で何かをやろう、試そう、としています。 そして私たち(吉岡)の課題である小豆島を題材にしたボードゲーム制作に向けて、ひとつのキーワードとして「食」というのが挙ってきました。

 

続く4日目は umaki camp に留まり、本腰を入れて制作に取りかかり始めることになります。井上さん、よろしくお願いします。

期間限定!ファブラボ小豆島(二日目)

2014.12.14

さて、期間限定ファブラボ小豆島の2日目。紹介させていただくのは、わたくし白石です。

 

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私は主に美術の分野で活動しており、虹を作るための装置や、スクーターを改造した二足歩行ロボなど、実際に稼働する作品を作っています。また、その作品を社会にインストールする過程や影響に興味があるため、美術館やギャラリーでの発表だけでなく、街に出てパフォーマンス行うなどいろいろとやってきました。

私は、ファブラボ北加賀屋の共同設立者でもあるのですが、”デジタルファブリケーション機器を多種多様な人たちが使えるようになった時、どのように使われていくのか、そこでは何が生まれていくのか自分の目で見てみたい!”というのが立ち上げに関わった最大の動機です。

このようなことに関心がりますので、向井さんからの「小豆島での小さな社会実験してみませんか?」という言葉には二つ返事で「面白そうですね!」と意気投合。一週間の滞在制作に向かいました。

 

二日目はあいにくの雨。エリエス荘から車に揺られ20分ほどで着いたのが、小豆島に来て第1回目のワークショップ会場となる池田小学校です。 小豆島の池田地域にあるこの小学校は全校生徒173名の学校です。今回のワークショップは6年生31名と一緒に「3Dスキャナー・3Dプリンターを使って人文字を作ろう」というもので、学生さんに自分のシルエットが文字の一部になるようにポーズを取ってもらい、キネクトを使って全身を3Dスキャン。そのデータをCADソフトでレリーフ状に加工・合成し3Dプリンターで出力する予定です。今年の夏に兵庫県美術館で開催させていただいた”サインラボ”というワークショップの内容をアレンジしたものです。

到着後、校長先生に挨拶を済ませ、図工室に機材を運びこみ準備を始めました。 スキャン撮影用ステージを作り、機材を配置、パソコン操作する様子を見られるように、プロジェクターを設置して準備完了。授業スタートです!

 

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6年生が入ってくると教室はぎゅうぎゅうになりました。担任の先生や校長、視察の教育委員会の方々、記者も教室に入り、すごい熱気です。そして騒がしい!しかし、担任の先生の一声でみんなきちんと整列。津田さんからファブラボの説明や機械の説明を静かに聞いていましたが、班ごとに分かれスキャンをしますよー!と言った途端、皆元気よく制作が始まりました。

 

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出張WS時の図工室俯瞰図

 

今回のお題は「いちばんをめざせ いけだっこ」。班ごとに役割を振りわけ、どのようにしたらうまく人文字を作れるか考えながらスキャンしていきます。簡単な文字は二人で並びながら、複雑なものは合成することも考えながら部分的に撮影します。椅子を使ってみたらとか、後ろから手を出してみたらとか、水を入れたペットボトルに隠れて撮ってみたらとか(水の入ったペットボトルは、キネクトから照射される赤外線パターンを透過・屈折させるため、その部分のデータは欠損します)、いろいろな工夫が溢れてきます。

 

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キネクトでの3Dスキャンの様子。画面を確認しながら、全身を使って文字を作ります。

 

スキャンや合成の作業をしているあいだ、ファブラボ小豆島(仮)のメンバーは班ごとにアドバイスや、機材のデモンストレーションなどをして授業を盛り上げてくれていました。そして、全員分のスキャンと出力用データの制作を終わらせ、3Dプリンターが稼働し始めるのを見届けたところで授業終了です。

 

自分の体で作った形が、データとしてPCの中に取り込まれ、短い時間で目まぐるしく変化する様子はなかなかダイナミックです。このようして完成した自分の面影が残るポリゴンデータには、照れ臭さや愛着などいろいろな感情が湧いてきます。実際に自分で機材を使ってみることにより、そんな小さな感動を積み重ねていってもらえたら、ものづくりが今以上に楽しくなると思っています。

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制作した3D出力用データ

 

その後給食に参加させてもらい、給食時間の放送で羽ばたき飛行WSの紹介、昼休みには飛行機のデモフライトを行いました。帰りがけに3Dプリンターの制作風景が見られるように玄関に機材設置たり、参加した6年生に自分がポーズをとった3Dデータのシルエットを、お土産用シールにして持って帰ってもらう準備をしていたら、あぁっっっっっという間に下校時刻です。

 

下駄箱前の人だかりの中、ウィーン、イーン、ミーン…と動き続ける3Dプリンターを、授業に参加できなかった他の学年の子達も食い入るように見ています。「まだできないの?」という問いかけに「まだまだだよ」と答えるとワーッとどこかに行ってしまうというくだりを十数回繰り返し、やっと2文字出力し終えたのは17時過ぎ。残りの11文字は滞在中に制作しお渡しすることになっていたので、急いで”FabBar”の準備に移りました。移動途中にビールを仕入れ、30分遅れで”FabBar@小豆島”グランドオープンです!

 

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出力中の3Dプリンターを興味深そうに眺める

 

“FabBar”は2013年の瀬戸内芸術祭の作品として制作されたUmaki campで開店しました。いつもはキッチン設備や本棚、作業テーブルが置いてあるスペースに、新たにバーカウンターとデジタル工作機器を配置してお客さんを迎えます。

 

ファブラボはそこに関わる地域の人たちの手によってカタチがつくられます。そして、そのカタチを構成する要素のひとつとして、その土地にある資源が挙げられます。 木の多いところであれば、木材を使い、金属が手に入りやすければ、その加工方法を学ぶ。土地の資源と繋がることは、ストレスの少ないものづくりをするための一つの方法です。 小豆島は食材の豊かな土地です。オリーブ、醤油、そうめん、佃煮、お魚などなど、枚挙に暇がありません。

そして、この潤沢な食料資源を使って何かをするということをテーマの一つに据えてみませんかという提案を、向井さんからいただいていました。 デジタルファブリケーション機材を使って食材を直接加工する方法、関係するアイテムや製造過程、新たなビジネスモデルなど検討できる要素は沢山あります。食材がメディウムとなり人や物の交流が生まれれば、アイデアが連鎖して新しい可能性が見えてくるかもしれません。

“ファブラボのクリエイティブな雰囲気を作るのに一番大事なのは、いい音楽(Good Music)と美味しい料理(Free Food)だ”と言われていますが、まさにその通りだと思っています。

 

また、小豆島には、「作りすぎた食べ物を助けると思って食べるのを手伝ってください」という意味の”たべだすけ”という言葉があります。予算の限られるこのバーでは”たべだすけ“の仕組みを取り入れ、飲み物は有料、食事とデジタルファブリケーション機器の利用は無料。その代わり来られるお客さんに”たべだすけ”でもってこられる食材があれば持ってきてくださいというお願いをしました。

 

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FabBar俯瞰図

 

初日の食材は我々が用意したものしかなく心許なかったのですが、岩ちゃん(昨日ご自宅に伺った)が新漬けを持って登場!超絶美味しいオリーブをつまみにするとビールも進みます。

ビールを飲みながら話をする中で、”オリーブを食べるときの食器”の話題が出てきました。 オリーブについてくる爪楊枝食べづらくないですか?という話の流れから改善策を考え、すぐに”試作品を作ってみよう”となるのがFabLabのよいところです。ちょうどよく3Dプリンターもモデリングソフトもデータを作れるオペレーターもバーにあります。モチーフはオリーブの葉にしようということで即スケッチを描きます。イメージが形になると意見も出やすく、話も尽きません。オリーブの葉には突然変異でハート形になるものもあるということがわかると、その情報はすぐにデザインに反映され、開発どんどんは進みます。3Dモデルのデータが完成しプリンターで出力してみようというところで、この日は閉店時間を迎えました。

オリーブ用の食器の開発以外にも、地域のお祭りで使用する宝船の相談や、オリーブハイボールなる美味しいお酒の情報など、いろいろなお話が飛び出しました。

 

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お酒を飲みながらの話し合いはアイデアの連鎖が続きます

 

キッチンの持つ実験室的な雰囲気、バーの中で飛び交う思いつきのアイデア、デジタルファブリケーション機器の加工スピード、そしてウィットに富んだトークが重なり合い、気がつくとアイデアがどんどん物質化されていました。ラピッドプロトタイピングの実践ここにありという感じです。

 

しかし、このような素晴らしい状況は偶然できたものではありません。向井さんが、地域おこし協力隊として島に移住して1年、多様な活動をされて地盤を固めてくれていたからこそ、我々のような外部からの訪問者も大きな障害なく企画をスタートできたのだと思います。

 

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バーで書かれたスケッチ

 

この日の夜もバーの会計や振り返り、明日の打ち合わせを行っているうちに、すっかり深夜になってしまいました。さてさて、長かった2日目もここでおしまい。 この先、バーでスタートしたアイテム開発はどうなるのでしょう?また、向井さんはまだまだ紹介したいものがたくさんあるようです。この続きは3日目担当の吉岡(英)さんよろしくお願いします!では、また明日。

 

illustration: Rie Mochizuki

Photo:Kanoko Yoshioka

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期間限定!ファブラボ小豆島(初日)

2014.12.13

こんにちは!ファブラボ北加賀屋メンバーの津田です。

 

2014年11月24日(月・祝)から30日(日)までの一週間、瀬戸内海の小豆島に、期間限定のファブラボ小豆島がオープンしました。主催はUmaki camp(後ほどご紹介します)、共催は小豆島町。そして今回、協力としてファブラボ北加賀屋のメンバー有志8名が関わりました。今日から一週間、その参加メンバーによるリレー形式のレポートをお届けしたいと思います。

 

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初日のレポートは僕が担当します。その前に簡単に自己紹介をさせていただくと、いま僕は大学助教として研究・教育活動に取り組むかたわら、ファブラボ北加賀屋には共同設立者としてその運営に関わっています。ここ十数年は地域・分野・背景など多様な背景を持つ人々が集まる場をつくることに一つの関心を抱いています。瀬戸内国際芸術祭に関わっている友人が沢山いたことから、小豆島には昨年の「お日待ち」以来かれこれ4回ほど訪れていましたが、ほぼ一週間も滞在するのは初めて。今回この地域にどのような場が生まれるか、期待しながら途に就きました。

 

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今回の企画の発起人は、小豆島町地域おこし協力隊であり、Umaki campを運営している向井達也さん。小豆島に移住する前は、コーポ北加賀屋に一緒に入居している建築設計事務所ドットアーキテクツのスタッフでした。Umaki campは、瀬戸内国際芸術祭2013の出展作品として、誰もが「建てる」ことに参加できる建築というコンセプトのもと、ドットアーキテクツの設計・施行によってつくられた場所です。制作期間は約4ヶ月、その間ほぼ島に滞在しながら制作を担当したのが向井さんでした。その後Umaki campは行政が関わりながらも定めすぎないルールに基づいて、誰でも使うことができるキッチンやワークショップ会場として運営され、自然と人が集まる場となっています。

 

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実は昨年から小豆島にもファブラボを設立したいという声は既にありました。僕のところにも個別にはご相談いただき、その都度お話をしてきました。しかし、ファブラボはその運営方法に確固としたカタチが決まっているものではなく、その地域に暮らす人たちの手によって地域ごとにカタチが決まってくるものです。小豆島には、どんなカタチが適しているか。どうやってつくっていけばいいか。そして、そもそも本当に必要なのかどうか。実際に地域の人たちと社会実験しながら、一緒に考えるほかありません。そこで、向井さんのお声がけのもと、まずは一週間、期間限定でファブラボをオープンしてみようということになりました。今回の企画に寄せる想いとして、向井さんの案内文を以下にご紹介します。

 

 

 今回のイベントは一過性のイベントではなく、小豆島の、四国の、物づくりに関わる人たちを結ぶスタートラインです。

FabLabの機械は魔法の道具ではありません。「発想をもった使い手」も必要だし、「新しいことを応援する人」も必要です。市民による立ち上げの、市民による工房でなければなりません。単なる道具ではなく、市民工房という考え方です。

“3Dプリンタ”や“電子工学”に少しでも興味をもつ人に来てもらいたい。皆様熱い支援を、小豆島に、四国全土に知れ渡る為の広いシェアを、お願い致します。

そして私には関係がない、と思っている “あなた” に来て頂けるように映画上映やバー、ワークショップなど様々な切り口を用意しています。オタクな世界ではなく、日常を楽しく、便利に、ユーモラスに変える始まりです。

FabLab小豆島が成立するかどうかはあなたにかかっています。

皆様ご協力ご支援、よろしくお願い致します。

 

 

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初日の24日(月・祝)、白石さん、井上さん、吉岡さん夫妻、津田の5名が坂手港から小豆島入りしました。会期中滞在したのは坂手港近くのエリエス荘という施設。瀬戸内国際芸術祭を機に、宿泊・交流・作品制作の拠点として活用されている公営の施設です。僕たちも会期中、宿泊だけではなく、地域の方との交流や作品制作の場の一つとしてエリエス荘を使用させていただきました。初日は到着後、まずは各々部屋に荷物を置き、そうそうにUmaki campに向かいました。Umaki campに到着してから少し時間があったので、向井さんの案内のもと、その周辺の馬木地区・醤の郷を散策。散策中に訪れたのは、岩ちゃん(石井岩男さん)のお宅です。フレッシュなオリーブオイルやオリーブの新漬けをご馳走になりながら、オリーブ講座を受けました。オリーブの生育を人の年齢に例えながら話す岩ちゃんのオリーブ談義はとても分かりやすく勉強になります。岩ちゃんには二日目以降ほぼ毎日お世話になることになります。

 

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初日の企画は「Theater」、関連ドキュメンタリー映画の上映会です。会場の旧醤油会館に移動し、仮設の映画館にするため、大きめのスクリーンやプロジェクタを設置し、醤油瓶用の木箱をならべて椅子にします。映画上映の準備を終えた僕たちは、ファブラボ小豆島準備室(仮)の方々との顔合わせを行いました。ITエンジニアの方、工務店の方、町議員の方。小豆島でファブラボに関心のある方が、同じ場に会して議論しはじめる。映画の幕が開ける前に、ファブラボ小豆島の幕が開けました。

 

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 今回の上映会は2本立て。19時から「Maker」、続いて20時過ぎから「Making, Living, Sharing」を上映しました。「Maker」は、アメリカにおける Maker ムーヴメントの現在を描いたドキュメンタリー映画です。Makerムーヴメントを先導する多数のキーマンたちの取材を通じてわかりやすく紹介しています。一方、「Making, Living, Sharing」は、ノルウェー出身のイェンス・ディヴィク氏が、約2年間にわたって世界各地のファブラボを自ら訪ね歩き、撮影した映画です。アイデアをオープンにすることで、ものづくりの可能性が広がっていく様子が描かれ、次世代の産業や製品開発のあり方を示唆しています。

 

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 少し趣の異なる2つのドキュメンタリー映画。上映後に町の人たちから感想をお伺いしたところ、特にファブラボを今回の企画で初めて耳にした方たちにとって「Maker」の話は自分たちとはどこか遠い世界のように感じ、一方「Making, Living, Sharing」の話は鎌倉の事例もあり身近な世界のこととして感じられたようです。これは映画に限ったことではなく、ファブラボのことを多くの人たちにとって身近なこととして感じてもらうためには僕たちももっといろいろな試行をする必要がありそうです。

 

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映画上映がおわり、エリエス荘に戻った僕たちは、2時頃まで翌日の準備をしました。初日はここまで。二日目のレポートは白石さんです。