FabLab(ファブラボ)とは?

「Fab」とは「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(素晴らしい)」という2つの意味が込められた造語で、アナログからデジタルまでの様々な機材、 特に3次元プリンタやカッティングマシンといった先端工作機械の普及によって実現される 「パーソナル・ファブリケーション」 (個人的なものづくり、多品種少量生産型デザイン)の可能性を、集う様々な人と共同で開拓していくための実験的な市民工房のネットワークです。 『「つくる人」と「使う人」の立ち位置の分断を解消する』ということを目指し、企業しか作れないと思われてきた製品を一般の人がつくることを、子どもから専門家までが 「Do It With Others(DIWO)」の精神で連携しながらサポートしています。

ファブラボは次世代のものづくりのインフラのようなものであり、インターネットの普及によって誰もが自由に情報発信することができるようになったように、 ファブラボが各地に普及することで、各々が必要なとき、必要な場所でものづくりができるようになることが期待されています。

FabLab(ファブラボ)の歴史

2002年、ファブラボ(実験工房)を作る動きが米国MIT(マサチューセッツ工科大学)から広がり、2013現在では30カ国120ヵ所以上に開設されています。 MITのニール・ガーシェンフェルド教授が著書『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』でファブラボを紹介して以来、その考え方が急速に世界に広まりました。
アメリカやヨーロッパの先進国ばかりでなく、ケニアやアフガニスタンなどの途上国にも広まっており、2011年、日本初のファブラボとして、 FabLab Kamakura(神奈川県鎌倉市)と FabLab Tsukuba(茨城県つくば市)がオープン。 その後も2012年にFabLab Shibuya(東京都渋谷区)がオープンし、 本格的なものづくり活動が始まっています。
各ファブラボの運営形態は様々で、大学などの教育研究機関や地域のコミュニティセンター、文化施設と一体化したもの、NPO/NGO、あるいは個人によるものなど、 それぞれが独自の運営を行っています。 それぞれのファブラボはネットワークを通じて様々なコラボレーションを行っています。 Fab Wikiなどを通じての情報共有を行うほか、ビデオ会議システムで繋がれており、24時間体制でシンクロしていて、 世界中のどのファブラボにも「Hello World!」と肉声で伝えあえるのです。

ものづくり憲章

ファブラボの基本的理念はThe Fab Charter(ものづくり憲章)として共有されています。

ファブラボ憲章日本語版(案)

目的: FabLab(ファブラボ)とは、3次元プリンタやカッティングマシンなどの工作機械を備えた、誰もが使えるオープンな市民制作工房の世界的なネットワークです。 大量生産やマーケットの論理に制約されていた「ものづくり」を解放し、市民ひとりひとりが自ら欲しいものをつくりだせるようになる社会が目標に掲げています。

利用法:人を傷つけるものを除けば、(ほぼ)あらゆるものを作ることができます。 利用にあたっては、一人一人が自ら試行錯誤して操作法を学び、ラボの使用法や機材利用のノウハウを共有・蓄積・継承していくことが求められます。

学習:ファブラボでは、実際のプロジェクトを行いながら、自ら機材の使い方を覚え、他のメンバーと互いに教え合い、学び合うことが基本です。 また、その試行錯誤の過程をドキュメンテーション(文書化)し、コツやノウハウをまとめたインストラクション(教材)や 機材のマニュアルを使用者が共同で作りあげていくことが求められます。

ファブラボを利用する人の責任

安全:人や周りを怪我させない作業の仕方を覚えること。

掃除:あなたが来た初めの状態よりも、ラボを綺麗に掃除してから帰ること。

維持:ツールや材料のメンテナンスや交換を手伝い、さらにそこで起きた出来事をレポートすること。

ビジネス:ファブラボでは商業活動(ビジネス・インキュベーション)は可能ですが、 オープンなアクセスや情報公開とコンフリクトを起こしてはいけません。 ラボの中のみならず、外でも大きく成長し、最終的には、ラボやラボのメンバー、ネットワーク、 オリジナルの開発者らにその成果を還元することが期待されます。

*これは年1回開催される FabLab世界会議で更新されているもので、世界のFabLabで共通の内容です。

FabLab(ファブラボ)の条件

ファブラボとは以下の8つの条件を満たした工房であるとされています。

  1. ファブラボ憲章の理念に従って運営されていること。
  2. ファブラボ憲章を印刷して掲示し, 国内のファブラボの一員であることを周辺コミュニティへ告知していること
  3. 少なくとも週1日は、無料またはお金ではないやり取りや交換条件・交渉の下で市民に一般公開されていること
  4. ファブラボとしてウェブページをつくり、そこに利用法や所有機材等を公開していること
  5. 世界のファブラボ標準機材を最低限揃えていること
  6. ウェブ環境を活用して、ものづくり知識やデザイン等の共有活動(オープンソース化)に取り組んでいること
  7. 世界ファブラボ会議に参加すること。そして世界のファブラボの一員として登録され、世界中のfablabberに「ここにもあるよ」と認知されること

標準機材

  • レーザーカッター
  • CNCミリングマシン
  • CNCルーター
  • ペーパーカッター
  • 電子工作機材一式
  • ビデオ会議システム

推奨機材

  • ミシン
  • 3次元プリンター

※上記は2013年現在の情報です。ファブラボ標準機材は毎年少しずつ進化しています。

参考:

fablab2.0

http://www.fablab.is/w/index.php/ConditionsForFabLabLabel