2014.12.13
こんにちは!ファブラボ北加賀屋メンバーの津田です。
2014年11月24日(月・祝)から30日(日)までの一週間、瀬戸内海の小豆島に、期間限定のファブラボ小豆島がオープンしました。主催はUmaki camp(後ほどご紹介します)、共催は小豆島町。そして今回、協力としてファブラボ北加賀屋のメンバー有志8名が関わりました。今日から一週間、その参加メンバーによるリレー形式のレポートをお届けしたいと思います。
初日のレポートは僕が担当します。その前に簡単に自己紹介をさせていただくと、いま僕は大学助教として研究・教育活動に取り組むかたわら、ファブラボ北加賀屋には共同設立者としてその運営に関わっています。ここ十数年は地域・分野・背景など多様な背景を持つ人々が集まる場をつくることに一つの関心を抱いています。瀬戸内国際芸術祭に関わっている友人が沢山いたことから、小豆島には昨年の「お日待ち」以来かれこれ4回ほど訪れていましたが、ほぼ一週間も滞在するのは初めて。今回この地域にどのような場が生まれるか、期待しながら途に就きました。
今回の企画の発起人は、小豆島町地域おこし協力隊であり、Umaki campを運営している向井達也さん。小豆島に移住する前は、コーポ北加賀屋に一緒に入居している建築設計事務所ドットアーキテクツのスタッフでした。Umaki campは、瀬戸内国際芸術祭2013の出展作品として、誰もが「建てる」ことに参加できる建築というコンセプトのもと、ドットアーキテクツの設計・施行によってつくられた場所です。制作期間は約4ヶ月、その間ほぼ島に滞在しながら制作を担当したのが向井さんでした。その後Umaki campは行政が関わりながらも定めすぎないルールに基づいて、誰でも使うことができるキッチンやワークショップ会場として運営され、自然と人が集まる場となっています。
実は昨年から小豆島にもファブラボを設立したいという声は既にありました。僕のところにも個別にはご相談いただき、その都度お話をしてきました。しかし、ファブラボはその運営方法に確固としたカタチが決まっているものではなく、その地域に暮らす人たちの手によって地域ごとにカタチが決まってくるものです。小豆島には、どんなカタチが適しているか。どうやってつくっていけばいいか。そして、そもそも本当に必要なのかどうか。実際に地域の人たちと社会実験しながら、一緒に考えるほかありません。そこで、向井さんのお声がけのもと、まずは一週間、期間限定でファブラボをオープンしてみようということになりました。今回の企画に寄せる想いとして、向井さんの案内文を以下にご紹介します。
今回のイベントは一過性のイベントではなく、小豆島の、四国の、物づくりに関わる人たちを結ぶスタートラインです。
FabLabの機械は魔法の道具ではありません。「発想をもった使い手」も必要だし、「新しいことを応援する人」も必要です。市民による立ち上げの、市民による工房でなければなりません。単なる道具ではなく、市民工房という考え方です。
“3Dプリンタ”や“電子工学”に少しでも興味をもつ人に来てもらいたい。皆様熱い支援を、小豆島に、四国全土に知れ渡る為の広いシェアを、お願い致します。
そして私には関係がない、と思っている “あなた” に来て頂けるように映画上映やバー、ワークショップなど様々な切り口を用意しています。オタクな世界ではなく、日常を楽しく、便利に、ユーモラスに変える始まりです。
FabLab小豆島が成立するかどうかはあなたにかかっています。
皆様ご協力ご支援、よろしくお願い致します。
初日の24日(月・祝)、白石さん、井上さん、吉岡さん夫妻、津田の5名が坂手港から小豆島入りしました。会期中滞在したのは坂手港近くのエリエス荘という施設。瀬戸内国際芸術祭を機に、宿泊・交流・作品制作の拠点として活用されている公営の施設です。僕たちも会期中、宿泊だけではなく、地域の方との交流や作品制作の場の一つとしてエリエス荘を使用させていただきました。初日は到着後、まずは各々部屋に荷物を置き、そうそうにUmaki campに向かいました。Umaki campに到着してから少し時間があったので、向井さんの案内のもと、その周辺の馬木地区・醤の郷を散策。散策中に訪れたのは、岩ちゃん(石井岩男さん)のお宅です。フレッシュなオリーブオイルやオリーブの新漬けをご馳走になりながら、オリーブ講座を受けました。オリーブの生育を人の年齢に例えながら話す岩ちゃんのオリーブ談義はとても分かりやすく勉強になります。岩ちゃんには二日目以降ほぼ毎日お世話になることになります。
初日の企画は「Theater」、関連ドキュメンタリー映画の上映会です。会場の旧醤油会館に移動し、仮設の映画館にするため、大きめのスクリーンやプロジェクタを設置し、醤油瓶用の木箱をならべて椅子にします。映画上映の準備を終えた僕たちは、ファブラボ小豆島準備室(仮)の方々との顔合わせを行いました。ITエンジニアの方、工務店の方、町議員の方。小豆島でファブラボに関心のある方が、同じ場に会して議論しはじめる。映画の幕が開ける前に、ファブラボ小豆島の幕が開けました。
今回の上映会は2本立て。19時から「Maker」、続いて20時過ぎから「Making, Living, Sharing」を上映しました。「Maker」は、アメリカにおける Maker ムーヴメントの現在を描いたドキュメンタリー映画です。Makerムーヴメントを先導する多数のキーマンたちの取材を通じてわかりやすく紹介しています。一方、「Making, Living, Sharing」は、ノルウェー出身のイェンス・ディヴィク氏が、約2年間にわたって世界各地のファブラボを自ら訪ね歩き、撮影した映画です。アイデアをオープンにすることで、ものづくりの可能性が広がっていく様子が描かれ、次世代の産業や製品開発のあり方を示唆しています。
少し趣の異なる2つのドキュメンタリー映画。上映後に町の人たちから感想をお伺いしたところ、特にファブラボを今回の企画で初めて耳にした方たちにとって「Maker」の話は自分たちとはどこか遠い世界のように感じ、一方「Making, Living, Sharing」の話は鎌倉の事例もあり身近な世界のこととして感じられたようです。これは映画に限ったことではなく、ファブラボのことを多くの人たちにとって身近なこととして感じてもらうためには僕たちももっといろいろな試行をする必要がありそうです。
映画上映がおわり、エリエス荘に戻った僕たちは、2時頃まで翌日の準備をしました。初日はここまで。二日目のレポートは白石さんです。