2016.10.07
こんにちは。番頭の吉岡です。
私は夫と二人で「手作りボードゲームチームたなごころ」というユニットを組み、ボードゲームやカードゲームといったアナログゲームを作っています。 アナログゲームをルールから考えて、身近にある材料を用いて、時にはデジタルファブリケーション機器も使いながらゲームのコマやボードといったコンポーネントを作り、イベントに出展して、展示や試遊、販売を行ったりしています。
今回はファブラボを通じて出会った方と一緒に行ったゲームづくりの8ヶ月について、お話ししたいと思います。
【2015年6月 加藤さんからのお誘い】
それは2015年6月末に行われた、メイカーズバザール大阪 vol.2 でのできごとでした。
一緒にファブラボ北加賀屋メンバーとして参加していた加藤さんに声をかけていただきました。
「『鉄と米』をテーマに一緒にゲームを作りませんか。」
加藤さんは愛知県に在住ながら、ファブラボ浜松、ファブラボ北加賀屋の会員になられたり、フットワーク軽くいろいろな場所で、いろいろな人とものづくりをされている方です。 もともと農業系の専攻とのことですが農業をはじめ生物や歴史など様々な分野に造詣が深く、お会いするといろいろなお話をして下さいます。
普段たなごころでは、様々なアプローチでゲームを作ることを模索しています。 システムと言われるゲームの仕組みから作ってみたり、何かしらのマテリアルからゲームにできないかと考えてみたり、3Dプリンターを使ってゲームを作ってみようと考えてみたり。
今回のように何かひとつのテーマからゲームを作るということもこれまでにありましたが、そのテーマに詳しい方からお誘いを受けて、というのは初めてのことでした。
その場でぜひ一緒にやってみましょうということになりました。
最初の目標はその年9月に山口県で行われるYamaguchi Mini Maker Faireに作ったゲームを出展することです。 愛知の加藤さん、大阪のたなごころ2名、計3名の小さなチームの始まりでした。
【2015年7月 加藤さんからのレポート】
その日から1週間ほど経った7月上旬、加藤さんから「稲作と鉄づくりの結婚」と題した、A4にして2ページ程度のメモが届きました。
島根県、出雲地方の稲作とたたら製鉄、その二つの関わりについてのレポートでした。
たたら製鉄の話、森や気候の変化の話、農村との共存の話、神話…幾つかのトピックスが含まれた、読み応えのあるレポートでした。
ゲームの種は幾つか見え隠れしています。おもしろい!でも一度話を直接聞いて全体像を紐解く必要がありそう、というのが第一印象でした。
【2015年8月 第1回ミーティング in 北加賀屋】
愛知と大阪の遠隔でやり取りをしつつも立て込んでいたこともあり、加藤さんに直接会う機会が持てたのは8月後半のことでした。
加藤さんにファブラボ北加賀屋に来てもらい、「鉄と米」について詳しい内容を聞きながら、その関係を構造化していきました。
知らない時代、知らない地域の産業、環境の話を加藤さんはわかりやすく話してくださいました。
議論の中から米づくり、鉄づくり、川や森(環境)のそれぞれに背景があり、それらの関わりも相互に絡み合っていることが見えてきました。これら全てを表現しようとすると壮大な計画になりそうです。
そこで今回は全体像の中からポイントを絞ってゲームを作ることにしました。
一番気になったポイント、それは『製鉄と森』の関係でした。
ある有名な映画で、たたら製鉄のために自然が破壊されるという描写がされているのですが、加藤さんがたたら製鉄を行っていた子孫の方から聞いたお話だと、山陰地方のたたら製鉄ではただ木を切り尽くしたのではなく、植林を行い、適度な伐採をして木々の豊かな森「里山」を維持することで必要な木材を確保していたそうなのです。 これは工業的な産業が自然との共存をしていた、とても珍しい例だというのです。
鉄を作るためには木材が必要、そのためには木を植えて森を作る必要がある。
また森は手入れをしないと、時が経つと木々の種類は変わっていってしまうので、適度に伐採をして森を管理をする必要がある。
「木を切って鉄を作ること」と、「森を手入れしてリソースを管理すること」のバランスが繁栄につながるというのは、ゲームとして成立しそうです。
そしてその日「製鉄と森」をテーマとしたゲームの概略が決まりました。
【2015年8-9月 遠隔でのゲームの仕組みづくり】
そこからは遠隔のやり取りとなりました。
たなごころチームはゲームの仕組みを考えて、加藤さんは木の遷移を表すのに適切な木を選定してもらうなどゲームに必要なテーマの詳細を調べていきました。
たなごころで組み立てたゲームの仕組みを、加藤さんが実際の森の仕組み、たたらばの状況の目線で確認をして、そのフィードバックをまたゲームの仕組みに反映させてテストプレイをしていく。
この繰り返しによって、ゲームの仕組みは出来上がっていきました。
(写真は初期プロトタイプ、紙と別のゲームのコマを代用して使っていました。)
【2015年9月 北加賀屋でのコンポーネントづくり】
ゲームの仕組みが固まってくると、ゲームで使うボードやコマといったコンポーネント作りに入ります。
今回は森をテーマにしていて、木を植え育てていくということから、どうしても木材を使ったコマを使いたいと考えました。
厚みのある木材から木ゴマを切り出したい、ということでファブラボ北加賀屋のCNCルーターを使用することになりました。
12mm厚のパイン材を、CNCルーターでゴリゴリ切削してコマを切り出していきます。
一部のコマは色分けをする必要があったので、タミヤカラーのスプレー缶で塗装しました。
木ゴマ以外の薄いコインは、レーザー加工機で2.5mmのMDFを彫刻、カットして作りました。
これはYamaguchi Mini Maker Faire直前の作業となったため、たなごころ2名で2日がかりでの作業となりました。
【2015年9月 「たたらばと森」プロトタイプ完成、Yamaguchi Mini Maker Faire出展】
まだ夏の暑さの残る9月、Yamaguchi Mini Maker Faireに出展した時点で、ゲームは「たたらばと森」という名前の1回60~90分かかる、なかなか重たいゲームとなっていました。
ブースに来ていただいたたくさんの方に、ゲームのテーマや内容のお話をさせていただきました。
毎回メイカーフェアでは、ゲームの内容だけでなく、作り方やコンポーネントについも感想やご意見をいただけるので勉強になります。
試遊は少し時間を取らせてしまうのでなかなかお誘いできませんでしたが、それでも数名の方が会場でこのゲームを遊んでくださいました。
【2015年9月-2016年2月 テストプレイ・リデザインの日々】
Yamaguchi Mini Maker Faire後、次は翌年2016年2月のボードゲームのイベント、ゲームマーケット神戸にてブラッシュアップしたものを出そうということになりました。
山口で実際に遊んでもらう中で、まだ要素が多すぎる、ゲーム中に停滞する、など課題がいくつか見えていました。
そこでそれぞれが知人の集まる場やイベントなどでテストプレイを繰り返し、要素を絞り、ゲームを磨いていきました。
12月には加藤さんとたなごころの3人で合宿を行い、徹夜でテストプレイをして調整を行いました。
ゲーム内容の改良に合わせて、コンポーネントもリデザインをする必要がありました。
これについてはデザインのデータを大阪ー愛知間でやり取りをして、それぞれの近くのファブ施設でレーザー加工機やCNCで加工を行い、作ったものを写真に撮り画像で送り合うなどして、遠隔で確認を行いました。
コンポーネントの試作については、たなごころは主にファブラボ北加賀屋で、加藤さんは名古屋のクリエイトベース金山で作業を行いました。
木ゴマは着色する個数を増やすことになったので、初のエアブラシに挑戦したりしました。 ファブラボ北加賀屋で説明書を読みつつ恐る恐る着色をしていると、エアブラシ経験のある方が使い方を教えてくださいました。
【2016年2月 「たたらばと森」完成、ゲームマーケット2016神戸出展】
そして寒さの厳しい2月、ゲームマーケット神戸に出展する時には「たたらばと森」は1ゲーム30分程度のすっきりしたゲームに仕上がりました。
例年たなごころがゲームマーケットにゲームを出展する際には量産をして販売を行っていましたが、今回の初の試みとして、試遊と展示のみを行い遊んでもらった方の反応をみるという機会としました。
当日試遊卓ではたくさんの方に遊んでもらい、ブースでも多くの方にゲームの話をさせてもらいました。
中にはこのゲームを欲しいと言ってくださる方も数名いらっしゃいました。
しかし今の手のかかる作り方では量産ができず、遊びたい方に遊んでもらえる機会が作れません。
データ公開で自由に作れるようにすることも考えましたが、デジタルファブリケーション機器に馴染みのない方には恐らくハードルが高く、今回希望をいただいた方が作って遊んでもらうにはなかなか難しそうです。
ゲームマーケット神戸ではブースに来られた様々な方に、量産やその他の世に出す方法を相談する場ともなりました。
こうして「たたらばと森は」一旦完成となりました。
【完成までを振り返って】
今回のゲームづくり一番大きかったのは、加藤さんとの出会いでした。
これが私たちのゲームづくりをおもしろい方向に引き込んでくれました。
ファブラボのネットワークというゆるいつながりの中で加藤さんを知り、遠隔ながら以前から互いにそのものづくりや活動の情報を認識していたことが、チームを組むことに躊躇なく踏み切らせてくれました。
また私にとっては初めての遠隔プロジェクトでもありました。
進める中で、会って話をしたり一緒に手を動かしてみないとなんともならない場面もあり、課題もありましたが、Web上でのやり取りでもなんとか一緒に作っていくことができたのは大きな収穫でした。
互いにデジタルファブリケーション機器を使える環境にあったことも、ひとつのアドバンテージでした。
そしてコンポーネントについては、ファブラボ北加賀屋に大型のCNCルーターがあり、思い描いたものを外注ではなく自分たちで試行錯誤して作れたことは大きかったように思います。
また3人のチームと言いつつも、ありがたいことに制作やテストプレイと様々な場面でファブラボ北加賀屋のメンバーを始め多くの方に助けていただいて完成したゲームとなりました。
【まだまだ続くゲームづくり】
「たたらばと森」は一旦完成にはなりましたが、加藤さんとたなごころのゲーム作りは続きます。
昨年2015年8月に広げたテーマ「鉄と米」はまだその一部しか回収できていません。
次はまた2ヶ月後12月のOgaki Mini Maker Faireでしょうか。
今年もまだ骨格もできていない新しいゲームを出すべくエントリーをしました。
「たたらばと森」も持ち込む予定ですので、来場予定の皆様、よろしければ遊びにいらしてください。
【おまけ 2016年12月 「たたらばと森」発売決定】
ゲームマーケット神戸後しばらくして、たなごころに1通のメールがきました。
それはHobby JAPANという企業の方からで、「たたらばと森」をHobby JAPANさんから出さないかというお誘いでした。
ゲームマーケット神戸の際にブースにて「たたらばと森」を遊んで頂いていた方の中に、Hobby JAPANのゲーム開発担当の方がいらっしゃったのです。
こうしてありがたいことに、「たたらばと森」はHobby JAPANさんとのやりとりでさらにブラッシュアップされ、この冬2016年12月、Hobby JAPANさんから発売されることとなりました。
2016.09.26
はじめまして、番頭の八登と申します。普段は流体シミュレーションのソフトウェア開発という仕事をしています。
近頃は、ArduinoやRaspberry Piといったマイコンが広く使われるようになり、ものづくりにおいてもソフトウェア開発、つまりプログラミングを行う機会は増えていると思います。私は今までソフトウェア開発を専門にやってきましたので、その立場から見たソフトづくりとハードづくりのそれぞれの難しさ、易しさを考えてみて、デジタル工作機械による制作がどのあたりに位置づけられるのかを考えてみたいと思います。
ソフトウェア開発の難しい点、易しい点はだいたい以下のような感じかと思います。
●難しい点
・概念が抽象的で、処理の流れが可視化しづらい
・コンピュータ全般やプログラミング言語への理解が必要
●易しい点
・パソコンさえあれば誰でもできる。スペースも不要。
・何度でもくり返し失敗でき、手戻りも少ない
一方、ハードウェア開発(アナログなものづくり全般)については、ざっくり以下のように考えました。
●難しい点
・作業の種類だけ工具を揃えないといけない。スペースも必要。
・器用さが求められる場合がある
・失敗するとやり直しになることが多い
●易しい点
・実際の仕上がりや動きをイメージしやすい
こう考えると、両者は一種の鏡写しのようになっているのかなという気もします。
一方、デジタル工作機械を用いた開発については、以下のようにその中間的なものとして考えることができるかもしれません。
・器用さが求められる部分を一部肩代わりしてくれる
・素材やツールへの理解は依然として必要。スペースも必要。
ソフトウェア開発を専門にしている人で、工具を使った造形に長けた人というのはあまり多くないでしょう。その意味では、造形の部分を工作機械が自動で行なってくれるというのは助かります。しかし、あくまで機械が行うわけですから、機械が不調でメンテナンスが必要なこともあります。また、素材によって求められる設定も変わりますので、素材も理解する必要があります。
結局のところ、すべての制作スタイルに共通することは、扱う対象とツールの正しい使い方を覚えることです。また、工夫できるところがないか探すのもよいでしょう。たとえば、ソフトウェア開発ではデバッガをうまく使うことで、処理の流れを逐一確認することができます。電子工作ならテスターやオシロスコープを使うことになるでしょう。アナログな制作でも、治具を作って作業やくり返し工程を簡単化することはできます。
ものづくりに携わりたい人は、それぞれバックグラウンドが違うわけですから、得意不得意はあって当たり前です。デジタル工作機械は、その垣根を低くしてくれるものと思いますので、時間をかけて試行錯誤して理解を深めていくことで、ソフトとハードを自由に横断する制作が可能になるのではと思います。
【天気予報時計】
ソフトウェア開発とデジタル工作機械を組み合わせた例として、最近制作した天気予報時計についてご紹介します。
そもそもこの制作は、FabLab北加賀屋で行ったPython講習会の題材として天気予報でLEDを光らせるというものを選んだのが元になっています。
お天気予報ガジェットを作りながらPythonを勉強しよう
Raspberry Piをインターネットに接続し、Pythonを用いてネットから天気予報情報を取得し、晴れ・くもり・雨に応じて、LEDを光らせるというガジェットです。
講習会の題材としてはこれでも十分だったのですが、せっかくなのでもうひと工夫して、FabLabのデジタル工作機械を使って作品として仕上げられないか考えました。(メイカーズバザールの出展ネタを探していたというのもあり。)そして作ったのが、刺繍ミシンで文字盤を作った天気予報時計です。
Raspberry Piで天気予報情報を取得するところと、LEDを光らせるところは同じなのですが、時計ですので、いつもRaspberry Piと有線でつなぐというわけにもいきません。そこで、Raspberry Piから直接繋いでいた配線を無線モジュールにつなぎ、無線で時計側にON/OFF情報を渡すことで、LEDを光らせるようにしました。詳しい製作工程はFabbleにアップしています。
Fabble: embroidery clock
プログラムコードは以下のGitHubにアップしていますが、一見複雑なことをしているように見えて、行数は繰り返し的な処理も入れてせいぜい50行程度です。マイコン上でのプログラミングがとてもやりやすくなっていることが、こんなところにも見て取れます。
GitHub: embroidery clock
文字盤の刺繍は、刺繍ミシンを用いて行います。刺繍ミシンは、画像を刺繍用のデータに変換して読み込ませることで、自動で画像と同じような刺繍が行える工作機械です。こう書くと、やったことは元の画像を作っただけのように思えますが、先ほどの話とも関連しますが、そう簡単ではありません。上の写真はうまくいった例ですが、その前に何回も糸が絡まったりして失敗しています。微妙な上糸・下糸の調整や、糸の質(すべりやすさ)等に影響されたのだと思います。布の張り方も弱かったかもしれません。そこは、プログラミングのように、こう書いたら必ずこういう結果が返ってくるというような単純なものではありません。
とはいえ、これだけ短い工程(実質数日)でこういうものが作れるようになったのは、デジタル工作機械とマイコンの進歩によるところが大きいです。FabLabをはじめ、メイカースペースの数も徐々にですが増えてきています。ものづくりに興味がある方が始めやすい環境が整っているのが今の時代ですので、少しでも興味があればぜひ始めてみてもらえればと思います。
2016.09.17
こんにちは。番頭のmiyaです。現在、娘が生まれて2ヶ月で、なかなか番頭に入れていません。
アナログな機械系ものづくりを得意としています。
今回のブログテーマは、少し前の話になりますが関わっていたプロジェクトについて。
fablabとの出会いはもう3年以上前。最初は、面白そうな場だけれども何したらいいんだろう、と、たまに遊びに行ってうだうだおしゃべりして帰るだけだったのですが、ある時、ラボにこんな貼り紙が。
3DP Fab Challenge(ストラタシス ジャパン社とFabLab渋谷がコラボレーションしたワークショップ・イベント)に、ミニ四駆をハックするというテーマで応募するということで(わたしは最初の話し合いに参加せずでした)、期限まで一ヶ月を切っていた時期だったかと…。そのころfablabで知り合ったkさんと「これは結構やばいんでないかい?」と、ちょっとお手伝い…なはずがどっぷりと。
3DP Fab Challengeが終わってもプロジェクト継続となりました。それからは、fabミニ四駆cup(イノベーション賞受賞!)、メイカーズバザール、Makerfaire2015と出展しました。
fablabでチームでのプロジェクトはこれが初めてだったのではないかと。
プロジェクトメンバーは4人。
Mさんがリーダーとして全体のまとめ役&電子回路&プログラミング&資料作成、Kさんは電子回路&通信関係、Iさんはデザイン&モデリング、わたしは機構設計&製作。うまくバランスがとれていたんじゃないかと(思ってるのはわたしだけかも知れませんが(-_-;))。みなであーだこーだとアイディア出しをし、計画を立て、目標(出展、workshopなど)に向かって製作をしていく。まるで学生時代の文化祭のよう。ひとりでは出ないアイディアや技術で、製作物が形になっていきました。とても楽しかったです。
もったいなかったのは、自分のできる分野のことばかりをやっていて手一杯になってしまい、身近に学ぶべきことがたくさんあったのに得ずままになってしまったこと。課題です。
簡単に各マシンの説明を。資料はリーダーMさんのつくられたものを使わせていただきましたm(__)mありがとうございます。
ご興味ある方、詳しい製作日誌はこちら→Facebook Group Fav Vehicle PJ
FV-01
初号機。助っ人Iさんが、3Dプリンタでの出力物であることを忘れさせてくれる塗装をしてくれました。見る人皆びっくり!アッカーマンリンク機構を使用し操舵できるようにし、制御はArduinoで。Bluetoothを搭載し、プレステのコントローラで操作できるようにしました。ヘッドライトもつきます!
FV-2
人のすね打つマシン。カメラを搭載し、おはじき状の円盤をビシビシ打つことができます。スマートフォンのアプリから動きを操作することができ、搭載されたwifiカメラの映像を取得することもできます。これも制御はArduinoで。
FV-3
自律型のミニ四駆です。一見、ミニ四駆らしさは欠片も残っていませんが、シャーシはちゃんとミニ四駆のものを使用しています。距離センサとタッチセンサを搭載し、おしゃべりしながら障害物を避け、動き回ります。制御はArduinoで。
FV-04
機体の中身はFV-01と同じですが、I氏のこだわりで外装を組木構造にし、漆塗り。和にこだわったマシン。
FV-5
前後輪ディファレンシャルギヤ付きアッカーマンリンク操舵のミニ四駆。技を詰め込みました◎下記説明写真のものは旧型でもっさりしていますが、新型はもっとスマートです(わたしの製作が遅すぎまして説明資料づくりの期限に間に合わず(-_-;))ラボの棚に見本としておいてありますのでご興味あられる方はぜひ。FV-2と同じくスマートフォンからの操作なのですが、操作感を出すためにスマートフォンに装着するコントローラも作成。ディファレンシャルギヤてなんやねん、という方のために模型も作成しました(これもラボの棚に)。制御はmbedで。
FV-01~3までのPVです。(これもリーダーMさん作ですm(__)m)
Fab Viecle Project from Tomohiro Inoue on Vimeo.
これらマシンに使用した技術を使ったworkshopも行いました◎
以上です。
fablabに来て、仲間だけではなく、旦那さんと娘という家族までできました(旦那さんは仕事まで得ることができました)。
やー、fablabっていいとこですね!
2016.09.03
番頭リレーブログ14番目はFAB歴3年目に突入した望月梨絵が担当しますー。まず簡単に自己紹介しますと、私は2013年からFAB LAB北加賀屋を訪れインターンとして受け入れてもらっていますが最初は大阪に短期滞在予定から移住に変更し、出会った人やモノに絵を通して関わりながら暮らしてました。今回「つくる」という縛りを投げられたので、書いていきたいと思います。
FABLABで推奨されている機材で今まで作ったものといえば刺繍ミシンで作った立体物ぐらいなものかもしれません。私は「つくる」時に必要性とか義務感がないと、なかなか重い腰が上がらないんです‼︎(「DIY」精神のFABLAB思想の場でこんな事を言うのは少し場違いかもしれませんが。)でも私が何も得てなかったり作っていなかったとは感じていなく、ファブラボ北加賀屋を通じて物質としてのデジタルモノづくりは余り出来ていませんでしたが大阪で制作しながら暮らしていく環境作りにおいてとても重要な場所であり、FABLAB北加賀屋にいるから築けた出逢いはとても大きいものでした。
初めてラボに訪れた時もファブラボ北加賀屋の共同開設者の現代美術家の白石晃一さんや研究者の津田和俊さんと会ったのですが多様なジャンルの方がいる事で単純に分類することも出来ず実態を掴むのに時間がかかりましたが、理系じゃない電子工作出来ない「私」でも居ても良いという寛容な余白を持っていて、多様な人間が集まる空間に可能性を感じる事が出来ました。「考現学」[1]という考え方で絵を描き始めたのもラボに来てからでした。勿論、Arduinoとかラズベリーパイを使って遠隔操作できる何かを作りたい気もします。でもやっぱりファブラボ北加賀屋の一番の魅力は、モノを作れる環境で情報が集まってきて色んな層の人たちが出入りする所だと思っています!
1.考現学とは今、まさに、現在起っている事を分析、解説する学問で、その観点から全国にあるFABLABや関係する施設の絵を描いています。
描いた絵はこちらで公開しています!たまに更新しているので覗いてみてください!⇨Fab Lab考現学〔http://fabmodern.tumblr.com〕
2016.09.03
ファブラボ北加賀屋番頭の森本です。
今回は私が取り組んでいる「プログラ民具」をご紹介します。
■開発の背景
ー「デジタルファブリケーション」や「ファブラボ(ファブスペース)」、そしてそれらを繋ぐ「ネットワーク(インターネット)」で何ができるのか、具体的に作ったモノを通して語れるようになりたい。
ー「MAKERS」をはじめ、FAB関係の書籍や会合の中で提唱されている様々なコンセプトや可能性が、具体的にどういうことなのか実践してみたい。
ーそして、それらが現実的なのか?有益なのか?あるいは楽しいのか?、実感を持って評価したい。
そんな事をぼんやり考えながら始めたのが「プログラ民具」というシリーズです。
■プログラ民具の概要
「物質がプログラマブルになる」、「デジタルとフィジカルがシームレスに繋がっていく」、「ソフトウェアで起きたことがハードウェアでも起こる」、あたりのキーワードを具体化しようと思い開発をスタート。その後、曲解、拡大解釈、単純化を繰り返し、「プログラ民具」に辿り着きました。
文字通り「プログラミング」とかけたものですが、拝借した要素は以下の3点。
①文法(=ソフトの使い方)を学べば、自分で一から好きなものが作れる。
②よく使う機能はモジュール化されており、呼び出して利用できる。
③改変可能なデータがオープンに流通している。
機能を持ったコアモジュール(データやパーツ)に、自身で製作したカスタムパーツを組み合わせることで、好みや使用環境に合わせることができ、かつ破損したり、使用環境が変わったりしても、一部を改変、修復することで使い続けられるプロダクトを目指しています。
なお、日々の生活で活用できるか評価するため日用品を作ることにしました。
データは元々123D Designで作ったものを現在Fusion 360で置き換えているところですが、以前からの課題だった③の可変させられる状態でのデータ公開の部分はまだできていません。
「プログラミング」に近いイメージとして、ファブラボ浜松の竹村さんに教えてもらった、OpenSCAD + Thingiverse Customizerがいいかなと思いつつ、ソフトの普及状況からFusion360の共有機能使った方がいいかなとかモゾモゾ考えながら、ずっと放置してしまっています。
いいアイデアあれば教えてください。
<※2017.4.1追記>
OpenSCADを使ったプログラマブル化の実験です。
moduleを組み合わせてプロダクトを作ることができます。
module内の数値をイジってサイズを変えることができます。
■プログラ民具//テープカッター
最初に選んだ製品はテープカッター。当時テープカッターが必要だったことと、機能ごとに分解しやすかったことが理由です。
<コアモジュール>
//mod cut(tape) 切る(テープ用)
汎用パーツといいながら、だいぶテープカッターに寄っています。レゴのように繋げることで幅を変えることができます。刃は3Dで作成できなかったので、レーザーカッターで作り、溝に挿し込んでいます。ただ、その1mmの溝がFDMでは出せなかったので、DMM.makeに出力オーダーしました。このように、出力する機材を選ぶデータの場合、公開する際に注意が必要かなと思いました。
//mod rotate 回す
ベアリングに軸をねじ込んで回る仕組み。テープカッターにベアリングを使うという贅沢なことが発生してしまいますが、おかげでテープを引き出す作業が気持ちいいです。
//mod attach ring 指に付ける
自分の指のサイズに合わせて可変できます。
//mod attach cramp クランプする
幅、高さ等可変できます。
//base
ブロックのように繋げられるようにするために、各パーツには凸の部分、もしくはそれを受ける部分が必要になります。
しかし、出力の際、凹の部分にサポート材が入ると、あとでヤヤコシイことになってしまいます。
そのため、本当は凹にしたいところも凸にして、アタッチメントパーツで調整するようにしました。
<バリエーション>
//Single/double
サイズ変えられますよーという話。mod cut、mod rotateがハマる部分さえ残せば、好きなデザインで外装を作れます。
//Wearable
体に装着することができるようにしたもの。脚立に乗りながら高所のテープ貼り作業を連続で行うというニッチな場面を想定。いちいちテープをポケットに入れなくて済むかなーと思ったのですが、残念ながら、左手の親指と人差し指の付け根あたりがツりそうになります。
//Cramp
回転部とカットを分離し、それぞれをテーブルなどに固定して使えるテープカッター。これは場合によっては使い道がある気がします。
作りながら思ったのは、回す機能(軸)と切る機能さえあれば、テープカッターとして成立するということ。
機能ごとに分解し、必要な機能だけ見つめることで、「〇〇はこういう形」という先入観から抜け出すことができたり、既存の商品カテゴリーにはない「〇〇を△△する道具」としか言えないような、新しいアイテムが生まれたりするのではないかと思っています。
■さいごに
現状テープカッター作るためのパーツ群みたいな感じになっていますが、本来はこれらのコアパーツをテープカッター以外のアイテムに展開していかないといけないですし、コアパーツ自体ももっと増やす必要があります。(と、一年前にも言ってた)
そんな中途半端な状況なので、このコンセプトが現実的なのか、有益なのか判断することはできないのですが、メイカーズバザールなどに出展した際の反応を見ると、どうやら楽しいのではないかと思っています。
ということで、これからも開発を進め、公開できるところまで持っていきたいと思っています。(できればいろんな人と一緒に!)
それでは!