2016.12.30
12月18日(日)に京丹後市で開催されたものづくり体験教室に参加してきました。
丹後ちりめんに代表される織物産業と金属加工業が盛んな京丹後市。
街の高台には、それらの技術を集積した「京丹後織物・機会金属振興センター(通称 織金センター)」という府運営の施設があります。
http://www.pref.kyoto.jp/oriki/
その織金センターを会場とした今回のイベント。
地元の子どもたちに、地域の産業に触れてもらいながら、ものづくりの楽しさも体験してもらうことを目的に、
2つの体験イベントが開催されました。
我々が行ったのは小学校高学年~中学生を対象とした「3Dプリンター体験コース」。
課題として、Kinectで撮った上半身のスキャンデータと、123D Designでモデリングした台座データを合体し、このような胸像をつくってもらいます。
まずは3Dプリンタ-とはなんぞやということで、実機でサンプルを出力させながら、3Dプリンターの仕組みや活用事例などを紹介。
ちなみに、今まで3Dプリンタ-を見たことがある子は0人、聞いたことがある子が半分弱ぐらいでした。
続いて123D Designを用いた土台のモデリング。
基本的なレクチャーのあと、さっそく自身で好きな形の土台をデザイン&モデリングしてもらいます。
初めて触るので、当然操作におぼつかないところはありましたが、
「2次元スケッチを書いて、押し出す、押し込む」という3D CADの基本はマスターし、思い思いの台座をデザインしていきます。
中にはジェネラティブライクなデザインをする子も。出力が大変だ。
自由にモデリングしてもらっている間に、順番にKinectで上半身データをスキャン。
Kinect側を固定し、回転イスに座った子どもたちを保護者の方がジワ~っと回すという方法で3Dデータを撮っていきました。
(なお、このKinect v1はファブラボ浜松さんにお借りしたもの。竹村さんありがとうございました!)
一周する間に、どうしても笑ってしまう子もいましたが、比較的スムーズに進行。
データ修復などに時間がかかるので、当日行う作業はここまで。
あとは二つのデータを預かり、合体、出力後、完成品を郵送でお届けします。
実はこの時作成したスキャンデータにいろいろあって、後で焦ることになるのですが、
それも含め、スキャンデータ作成&修復作業について別の記事でまとめたいと思います。
とりあえずこんな感じで皆さんの胸像データができたので、年明けぐらいにお手元にお届けできるかと思います。
そして、最後は場所を移動して、織金センター松本技師指導の下、事前に作成していた3Dモデルのサポート材の除去作業を行います。
ちなみに、めっちゃ撮影してるのは、地元の新聞社とケーブルテレビ局の方です。
出力に使ったのは織金センターにあるインクジェット3Dプリンタ「Projet3500」。
ドン引きするような本体価格だけあって、FDMでは気を遣うような繊細なデータも、何事もなかったかのようにキレイに出力してくれます。
そんな高級3Dプリンターで出力したのは地元のゆるキャラ「コッペちゃん」。
(著作権的に問題ない事も確認済み)
正面からの2次元データと着ぐるみの写真を元にモデリングを行いましたが、
よりによって突起物いっぱいあるわ、着物来てるわ、帯まで付いてるわで、なかなか苦戦しました。
そんなコッペちゃんのサポート材を剥がしていきます。
私もインクジェット式プリンターでの、この作業はやった事がないので勉強になりました。
まずは工具で荒く削ぎ落としたあと、
加熱し
油の中で超音波を当てることで、サポート材を除去します。
念入りに洗浄し、できたのがこちら。
帯もちゃんとついてます。
完成したコッペちゃんを持って帰ってもらい、当日のイベントは無事終了しました。
今回のコンテンツの作成にあたっては、複数のデータ作成方法を体験してもらうことにこだわりました。
理由としては、3Dプリンタ-(デジタルファブリケーション)は
3D CADのデータが出力されるのでもなく、スキャンしたデータが出力されるのでもなく、
画面の中の情報が物体として出てくることが面白いんダゼ、ということを伝えたかった事とともに、
単純に多くのことを体験してもらいたかったからです。
ファブスペースも増え、何かとイベントごとの多い都心部に比べ、地方ではなかなか実際に体験する機会は少ないかと思います。
ネットでいくらでも情報が得られるとはいえ、このような過去に体験したことがないことに関しては、実際に見て触れるのとは情報の濃度が全く違うかと思うので、この機会にいろいろ体験してもらえるよう、若干溢れるぐらいに詰め込んでみました。
京丹後市でこのようなイベントを開催するのは今回が初めてとのことでしたが、これをキッカケにイベントが定期的に開催されたり、さらには現地にメイカースペースができたりするような流れになるといいなと思いました。