【番頭リレーブログ#8】デジタルFABで自然に倣うものづくり

2016.07.29

番頭の高橋祐介です。会社員・個人Maker・羽ばたき飛行機製作工房 主宰。 趣味で羽ばたき飛行機の製作を始めて10年になります。

 

10年以上にわたり、趣味で「羽ばたき飛行機」開発に取り組んでいます。個人が楽しめるホビーの領域で、室内で飛ばせるような小型の電動羽ばたき飛行機が成立することを示したパイオニアと自負しています。

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活動を始めた当初から、ネット上で国内外の情報を収集したり、ネットを通じて知り合った同好のインドアプレーン仲間と飛行会を行ったりしていました。それが6年ほど前、当時まだMake: Tokyo Meetingという名前で東工大で行われていた現Maker Faireに参加してデモフライトを行ったのがきっかけで、模型飛行機に関心のある多くの関係者の知遇を得て、学研大人の科学マガジンで「デルタ・ツイスター」というオリジナルデザインの羽ばたき機をふろくキット化していただくことになりました。また、しばしばTV取材を受けたりするようにもなりました。

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学研大人の科学マガジン「デルタ・ツイスター」

 

その後、2012年に刊行されたクリス・アンダーソンの「MAKERS」を読んで衝撃を受け、無料の3D-CADや3Dプリンティングサービスを利用したパーツ開発に踏み出しました。またFABLABの運動のことを知り、当時ちょうど大阪で設立準備が進んでいたFABLAB KITAKAGAYAに飛び込んでメンバーに加えていただきました。3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作マシンを初めて身近に使えるようになった感激もさることながら、ものづくり全般にわたって幅広い分野の仲間と知り合うことができたのは、その後の人生が変わったといえるほどの収穫でした。

 

パーツ出力に3Dプリンターを利用することで、同型部品を量産したり、キットを使ったワークショップを行えるようになりました。FABLAB KITAKAGAYAがスタートしたのと同じ3年前から、オリジナルデザインの3Dプリント羽ばたき機を用いた入門ワークショップを始め、これまでに累計1000機以上を作っていただきました。3Dプリント技術によって、羽ばたき飛行機の魅力を多くの人達に体験してもらえるようになったと思います。 初代の「Flying Pants」から現行の「タケソプターNEO」まで、基本デザインは共通ながら、パーツ構成は大きく変化しています。ワークショップでの知見をフィードバックしながら、作っては直しのラピッドプロトタイピングができればこその進化といえます。

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Fabble 3Dプリント羽ばたき機タケソプターNEO

 

パーソナルファブリケーション、メイカームーブメントというコンセプトがもつ可能性の大きさに心躍らせた日のことを忘れず、FABLAB KITAKAGAYAの運営をお手伝いすることで、自らの活動とあいまって、同コンセプトの具現化と社会への浸透・定着に微力ながら貢献できればと思っています。

 

最後に余談ですが、「何で羽ばたき機?」とよく聞かれますので一応の定番回答を。講演やワークショップの度に説明しているのですが、地上に羽ばたいて飛行する生物が出現して3億年経っています。それ以来現在に至るまで積み重ねられた羽ばたき飛行の進化の精緻さ・多様さにすっかり魅了されているからというのが答です。現生人類が出現してからたったの25万年です。その一瞬ともいえる短い間に成し遂げられたことの大きさを評価する見方もあるかと思いますが、時間にして1,200倍の差は圧倒的です。こと羽ばたき飛行については、人類による理解はまだ緒についたばかりといえます。未知なるものへの科学的探求心こそが人類を定義づけると信じる者の一人として、羽ばたき飛行は生涯を賭けるに余る深遠なテーマなのです。

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