【番頭リレーブログ#6】ものづくりレシピ作り_前編

2016.07.16

番頭の白石です。
テーマは「◯◯作り」とのことなので、今回は「ものづくりレシピ作り」について考えたいと思います。
FabLabでの活動は、個人的な制作を、自分の中だけに留めず広く共有し、その反響を自身の学びに結びつけ再び制作するという「Learn Make Share」のサイクルを回すことが推奨されています。
「3Dプリンタ」や「レーザー加工機」という機械が目立ってしまうため、デジタルファブリケーション機器を使った「作る」だけ場所と認識されがちですが、「学び」と「共有」もラボの活動の大きな部分を占めており、「共有」することに対しては様々な効果が期待されています。
例えば、似たようなものを作ろうと考えている人の参考になったり、クリエイティブ・コモンズを用い、著作権の一部開くことで、自分以外の誰かが改変・再制作してくれる可能性が生まれたり、プロジェクトに共感する仲間を見つけることにつながったりなど、成功事例も多く出てきています。

 

ものづくりレシピ共有サイトの例 Fabbletop_unlogin_large

 

公開するだけではこのようなことは起こらないため、そこに纏わるさまざまな試行錯誤が必要なのですが、記録を作らないことには素敵な夢も実現しません。
「じゃあ、みんなも明日からどんどんものづくりレシピを公開して、夢掴んでいこーぜ!約束だゾ!」
といってもピンとこないのは重々承知しております。正直私もめんどくさいなーと思っている一人ですので。
しかし、記録をまとめて誰もが閲覧できるようにすることで社会的にいろんな利益があるのだろうし、自分の開発の記録がピースの一つになってその後発展していく、そんな経験もしてみたい。
そこで私は、「頑張って記録するなんて絶対に嫌!なんか作ってめんどくさい思いをせずに解決しよう。」という考えに至りアイデアを煮詰めました。

 

多くの「ものづくりレシピ」は、文章だけでは分かりずらいため、動画・写真を中心に、その詳細を記述で補うという形で公開されています。
しかし、制作に集中すればするほど、記録に手が回らなかったり、忘れてしまったりと、重要な部分が画像に残らないことは頻繁に起こります。そして、後でまとめようとするのですが、覚えていなかったりします。
また、ビデオカメラを使って動画で全てを記録するという方法もあると思いますが、長時間の記録を、第三者に伝わりやすい形に編集することは時間と労力がかかるため、いつもできるわけではありません。
そして、頑張って公開したとしても短期的にに効果が現れるものでもないですから、モチベーションが上がらないという問題もあると思います。
作業者が何もしなくても勝手に扱いやすい記録を残す方法を検討して、私が試作したのがこちら。その名も「D3(ディーキューブ)」!
「Desktop Documentation Devidce」の略で、机の上の作業者の動作を自動的にを記録する装置です。

 

「D3」プレゼンテーションポスター
presentation

 

機構は非常に単純で、フード内に付けられたカメラデバイスをPCに取り込み、作業者の動きの中心点を画像を通して検出しています。(具体的には、フレームごとのグレースケール画像の差分とって、その重心を算出しています。)そして、動きの中心が画角の中心に入るようにライトアームを旋回させて、写真を撮影するというものです。
ライトに付けられた、マイコンはモータを操作するだけのものでPC側に制御プログラムがあり、撮影された写真はPCに保存されます。作業終了時にプログラムを閉じると、写真群はタイムスタッンプと一緒にHTML化され保存されます。
まだ問題点はたくさんあるのですが、ファーストプロトタイプとしては上出来かなというものができました。

 

「D3」システム説明動画

 

この「D3」は、世界中のファブラボ関係者が機材の使い方やプロジェクトの進行方法や、ドキュメンテーションの方法を学ぶ「ファブアカデミー」という通信講座のファイナルプロジェクトとして、昨年作ったものです。

 

宿題提出用の個人サイト

 

さてさて、結構なボリュームになってしまったので、前半はここまで。
後半は、ファブアカデミーとはなんなのか?そして、「D3」を通して私が今考えていることを書いていこうと思います。