【番頭リレーブログ#4】CNCでものづくり

2016.07.01

番頭の兒島です。 本業は木工、展示会専門の大工職をやっています。角材とベニヤでいろんな形のものを作るのが仕事なんですが、今までで難しかったものの中から二つ、紹介させてください。前の職場でCNCルータ導入後3ヶ月ほど後の、連続した製作物です。

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まずは1300パイの透明アクリルの案内看板を載せる台座です(使用した材料はコンパネt12、ラワン曲げベニヤt3、芯材24*45。ちなみに曲げベニヤとは、通常のベニヤは単板の木目方向を縦横相互に積層しているのを、一方向だけにして曲がりやすくしたものです。)楕円であるだけで面倒な上、円柱の斜め切り形状は、木工で作るには難物です。

 

円柱は天地をコンパネで、切った丸に角材で縦に桟をいれ、ベニヤを貼ってつくる。そんなに難しくありません。(ベニヤを貼る、と言うのは、木工ボンドを塗った上でエアタッカー(コンプレッサー駆動の二股釘打ち機)で固定することです。) ところが斜め切り形状にするためには、当然ながら角度をつける必要がある。こんな感じですね。

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あえて手作業でやるなら、ジグソーでたとえば30度ごとに角度を変えて切る、かな?でも面倒くさすぎ、やりたくないです。ジグソーは精度の出ない工具でもありますし。で、実際やったのは、コンパネ12ミリを3ミリピッチ4段に加工して、擬似的に角度のついた断面を表現しました。我流2.5Dデータ作りです。

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想像していただけるでしょうか、それほど簡単ではありませんでした。上下で角度が反転するので表裏2種類、さらに左右もそれぞれ作るのに、何度も失敗して一日以上かかりました。…一日くらいで何を大げさに、と思われましょうが、モノを作ってナンボの世界、PCの前に座って一日苦しんだだけでした、では日当も請求できないのです(ウソです。請求はします)。納期(積み込み)まで後○日、の中の一日なのです。

 

結果…できました。パーツ設計一日強、CNC作業半日、組み立て一日、計三日でできました。昔ならまずできません、他を当たって下さい。という筈のものが、三日で出来てしまいました。CNCルータすごい!!…とはいえ、今ラボのCNCで、type3使って作る自信無いです。

 

さてもう一品、こちら2D図面だけで。

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中央台形部が、天伏せ、平面です。左右はそれぞれの側から見た立面。総ワイド15メーターの、壁面がH2600まで立ち上がり、外R400でH3000の天井になり、かつ図のごとくその天井に角Rの平行四辺形と三角形の開口が空き、アールで前面に降りてきて空中で止まる、凝ってます。OpenSCADで描こうと挑戦しましたが、挫けました。2D図は元図面から製作用に起こしたもので、平面と立面が同時に描いてあるのは、私だけが解ればよい製作図なので補助線等含みこう描いています。実作用には、レイヤ分けしてさらにいっぱい線が引いてあります。もう今見ても何を考えて描いていたのかさっぱり解りません。あと、大物の場合トラックに乗るサイズというのが当然あって、しかるべき分割線を実線で入れています。実作の場合、本当にここで割ってあってるの?という不安のつきまとう分割線です。

 

これでアールの斜め切りを階段状に加工する技を覚えて、そして先ほどのが2作目です。納期の同じ大小二品、いくらCNCルータを入れたからって、だからできるはずだと?と言いたい、でもできたから自慢したい二品でした。

 

当時使っていたCNCルータですが、こんなやつです。

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導入したのは4年前ですが、すごい中古です。FANUCの制御版のついた、平安と言う機械メーカーのCNCです。どれくらい中古かと言うと、データサイズがMで表示されます。メガバイト、ではなく、メーターです。データ入力にパンチングテープを使っていた、そのテープ長です。8インチくらいのモノクロCRT(320*240とかなかんじ)に、Gコードはそのまま表示されて、動いてました。制御盤の入力はテンキーだけで、それでGコード打ち込めるようになっているんです。電話帳(死語?)のようにぶあつい取り説が何冊も有って…実際には、markIIというCAD_CAMソフトから作ったGコードをLAN-シリアル変換して送っていたんですが、なんていうか…専用機を、ソフトでムリから動かすわけで、もうあちこちすごいのかすごくないのか…まあでも、ラボのwoodpeckerとtype3よりは信頼性あったな。

 

まだいくつかご紹介したいものもありますが、今回はこの辺で。書いてて思ったんですが、どうも私は、2Dの図面から3Dの実作に起こすと言う、作業をときどき、仕事として楽しんでやれているようです。