Session#2c みんなカーゴ & Material Finishing Workshop

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このワークショップはFabLab SENDAI – FLATで行われた「Material Finishing Workshop」をもとに、内容を実験的に拡張させたワークショップです。
デジタルファブリケーションを使用した制作物に、一手間かけて仕上げを行いそのクオリティを上げる手法を学びました。
題材として、FabLab Kitakagayaが地域のコミュニティ農園「北加賀屋みんなのうえん」の参加者と開発、現代美術家の國府理氏がデザインを考案し、オープンデザインとなっている”みんなカーゴ”を使用。参加者はそのミニチュアを制作しました。

今回のワークショップでは、5つの種類の木材と、水性ステイン、アクリル塗料、オイル、柿渋等の様々な塗料を準備。
素材と塗料のマッチングや適した使用方法を参加者が実際に試し模索しつつ、その場で知見を共有し記録していくという実験的な進め方で行われました。
結果、それぞれが完成させたミニチュア”みんなカーゴ”は風合いの異なる仕上がりとなり、そこで共有された知見は「Fabble」に記録されました。

Report

私はボードゲームの制作をしており、ゲームの中で使用する木の駒をどうやって着色するかを調べていた所、FabLab Kitakagayaにて今回のワークショップを知り参加しました。

ワークショップでは、普段からよく使用する素材であるMDFを始め、使った事のないマホガニーやレッドオーク、杉やバルサなども準備されており、スタート時点ではそれらを触ったり匂いをかいだりして素材の質感を比較する事ができました。 それぞれの素材はすでにレーザー加工機でミニチュア「みんなカーゴ」のパーツの形にカットされており、作業はそのパーツをカッターで板から切り離し、ヤスリがけをする所から始まりました。 切り離す段階では素材によって硬さが異なり、私の使用したレッドオークとMDFは比較的硬く、切り離すのに苦労をしました。 その後のヤスリがけも、レーザーで切断された断面はこげて黒くなっているため、丁寧な作業が必要でした。番手をあげながらレーザーのこげを落とし仕上げました。MDFも表面を丁寧にやすると触り心地がすべすべになったのは驚きでした。下準備の大変さと、後にはその重要性を痛感しました。

そしていよいよ着色です。水性ニス、油性ニス、彫刻オイル、柿渋、様々な色の水性ステインや水性アクリルガッシュが準備され、目移りしてしまいます。参加者は素材と塗料を自由に選び、それぞれの素材にそれぞれの塗料がどのようにフィットするか実験をして、その場でどんどん共有をしていきました。 水性ステインを塗り大胆に拭き取ってシャビーな感じにする方、水性ステインを丁寧に重ね塗りしてこってりとした風合いに仕上げる方。オイルで木目を活かしてシックに仕上げる方もいれば、一部に十字の傷を入れてそこだけ違う色の塗料を入れて星にみえるようにされる方もおられました。 私は水性ステインに様々な色があったので、調色して4色のパステルカラーを作り木目が見えるように薄めに着色しました。 水性アクリルガッシュも使ってみたかったので、一部はマスキングでをして水性ステインの上から水性アクリルガッシュを塗り、ストライプに仕上げました。MDF部分は地が均一なのでストライプがよく映えました。

全てのパーツの塗装が終われば最後は組み立てて完成です。参加者どなたのカーゴも味のある素敵な仕上がりでした。自分の作品が一番かわいい、とそれぞれが思ったのではないかと思います。

便利なデジタルファブリケーション機器を使った作品も、下処理と仕上げにもう一手間かける事で、作品により個性が出てくることには新鮮な感動がありました。 同じ作業をしていても仕上がりは異なり、「この素材はこんな特徴があるね」とか「これはこうするときれいにできるね」という感想や知見をその場でおしゃべりしながら作業ができたので、自分が使っていない素材についても知る事ができました。作業中は塗料で手が汚れていてメモを取れなかったのですが、講師の白石さんが随時Fabbleに入力をしてくださり、細かいコツのようなところも記録を取ってくださったので、後で見返す事がでたのもありがたかったです。 今後これまで使ってこなかった素材や、塗料を試してみたくなりました。

(FabLab Kitakagaya 吉岡)